勇次と久しぶりに再会してから二週間が経つ
『印象強い女だったな』
啓介は広々としたリビングの大きなソファで、欠伸をしながらまどろんでいた
啓介の携帯が鳴る
・・・勇次だ
「勇次でございますぅ、啓介君様でいらっしゃいますかー?」
「・・・(笑)・・・・・只今お掛けになった電話番号は現在使われておりません」
「なんだよーっ 、一瞬ビビッたじゃんかーっ」
「・・・クックックッ・・・どうかしたか?」
「いや、お前さ・・・ BQ 好きか?」
「いいな・・・アウトドア嫌いじゃないぜ?」
「じゃあー、決まり。」
「おぅ、場所は?」
「高橋家別荘裏庭にあるフランスはパリより直輸入、極上石畳の上」
「(笑)分かった、再来週の日曜なんてどうだよ?」
「おぉっけぇーっ、仲間集めていいか? 大勢の方が面白れーしな」
「いいぜ、・・・じゃ、空けとく。俺は何を用意すればいい?」
「うーん・・・ゴム位かな?(笑)」
「(笑)お前相変わらずだなぁ」
「じゃあ、トング」
「あぁ、摘むヤツか?」
「(笑)いーよ、お前は庭の掃除でも・・・って、家政婦の悦子ちゃんがやってくれるか」
「《ちゃん》の歳じゃねーだろ?」
「がっははははっー じゃ・・・浩二達にも声掛けとけよなっ」
「あぁ・・・なぁ、勇次、お前らはいつも海かよ?」
「大抵日曜は現着であそこにいるさ」
「今度乗せろよ」
「いいぜーッ スカーッ とするし」
「楽しみにしてるよ」
「じゃあな」
・・・咥えた煙草に火を付けた
優しいDuPontの音がリビングに響く
『BQか・・・楽しみだな・・・』
啓介は優しい微笑みを浮かべる
『確か再来週の土曜日は D の遠征・・・なかったよな、86のメンテで』
太陽が・・・照り付けるのを鎮めてきた夏の日の夕暮れ
窓越の光景が啓介の瞳に写る
瞼を少し伏せる
『あいつは・・・来るかな・・・?』
「いたのか、啓介・・・」
「あっ、アニキ・・・なぁ、ジェットスキーだかマリンジェットだかってあるじゃん」
「・・・ジェットのライセンスを取るつもりなのか。お前だったら・・・余裕だろうな・・・違うか?」
「////アーニーキーッ、分かっちゃった?」
「この間、随分と羨ましそうにしてたからな」
「・・・今週の遠征は千葉だよな?」
「そうだな・・・当分はそうなりそうだ。コースはイメージしたのか?」
「大丈夫だ、任せておけって『千葉か・・・日曜の朝には帰れるか・・・?
』」
も勇次から連絡をもらい、再来週の日曜の予定を空けた
髪を無造作に纏めて大学で講義を受けている
『今日もバイトだぁ・・・ふぁぁぁ・・・ねむっ』
退屈な講義の後、恭子が友達二人と共に物凄い勢いで話しかけてきた
「ーっ、この間の人ーっ 高橋啓介ぇぇぇーっっ」
「??!!!っいきなり何よーっ? イツキみたいに興奮しないでよっ」
「っ/// それより、今度のBQに誘ったって徹が言ってたぁ」
「だって、勇次が高橋家別荘なんとか石畳(?)でやるって言ってたから、当然ご出席でしょ(笑)・・・で?」
「あの人、超有名人らしいよー」
「らしいね、実夏達も言ってた」
「あーっ早く日曜日になんないかなーっ」
「徹が怒るよ?」
「大丈夫、公認だから」
「・・・それってさー、ある意味・・・徹は、恭子とあの人がくっ付く訳ないって自信ありげ」
「・・・・・あ゛ ちゃん・・・悲しいーっ」
「(苦笑)じゃっ、あたしバイトあるからさっ」
「・・・はい、ごきげんよう・・・・・徹っ///・・・そういう意味だったのね・・・・」
は、ごく近い場所の自宅へと歩く
五分位だろうか・・・
は、蝉がけたたましく鳴く中、空を見上げた
『高橋啓介ね・・・ま、あたしは眼中に置かれてないと思うし・・・アウトオブ眼中・・・(笑)誰かの台詞だわ!!!』
自宅駐車場にドカッと停めてある4WDに、足早に乗り込みバイトへ向かった
「いよいよ来週だねっ」
恭子が派手なビキニ姿にライフジャケットを羽織ながら、に静かに言った
「楽しみなんだ?」
「そりゃぁねっ、だって《ロータリーの王子様》って言われてるらしいしさ」
「・・・アブナいネーミングねぇ(笑)」
「なんか、地元はこっちじゃないんだってさ、群馬らしいよ」
「なんでこっちにいるのよ?」
「別荘があるざますぅ、ほほほっ」
「/// あんたのじゃないでしょっ」
「凄いねーっ、金持ちだしさー、容姿端麗ってヤツだし」
「はいはい・・・乗ってこよーっと」
「ちょっと、っ」
岸から水に身を任せると、の火照った体を癒してくれる
アンカーを引き上げ、ジェットに這い上がり跨った
エンジンをスタートさせて勢い良く出る
「確か、勇次はこっちに行ったよねーっ?」
啓介は遠征の帰路
素早く家に入るなり《浜準備》に取り掛かった
適当な大きさのバッグに詰め込むと、いそいそとリビング迄降りてきた
『・・・・・・・・・・よーっしゃーっ、アニキの確認よーしっ
!!! 』
滑る様に玄関へ辿り着き別荘を後にした
これではまるで逃亡者だ
父親のセカンドカーを走らせる
自分のFDは潮風に晒したくないのだ
しかし、いいのだろうか・・・父親のセカンドは白いベンツのゲレンデだというのに・・・もったいない!
『これなら4WDだし・・・ああいう場所にはもってこいだぜっ』
時刻を見る・・・達・・・いや、勇次達は多分一日いるに違いない
『勇次に電話してみるか・・・それとも突然の参上ってのはどうだ?』
この間の場所に到着
暫く探すと・・・いたいた(笑)
と恭子が、またデッカい声で何やら話をしている
今日のメンバーは7・8人・・・かな
「よぉ・・・勇次・・・元気そうだな」
「おっ、啓介君様!!!」
すかさず恭子が挨拶をする
「おはよう・・・こんにちは、かな?」
「(笑)微妙だな」
・・・啓介は気になるの表情を伺った
「おはよっ、啓介君様」
「くんさま は、いらねぇだろっ」
「あははっ、だってさ、勇次が言ったの面白かったから」
「啓介でいいぜ?(笑勝ち)」
「ん?」
「・・・どうかしたか?」
「結構優しい顔もするんだなーと思って・・・あたしも《》でいいから」
「 //// からかってんのかよ?」
「まさかーっ、いい顔してたよっ。ねっ乗りに来たんでしょ? 出ようよ」
「別にそういう訳じゃ・・・」
「だって、この間、羨ましそーーーーに見てなかった?」
「う゛っ (お前はアニキかっつうのっ) 」
「行こっ、午後は波が高くなりがちだから」
啓介は素直になりきれなかった
に心を見透かされたか?
いや、まだ会ったのは二回目だから、そんな事はないか・・・
啓介は着替え終わると勇次の後ろに乗った
も徹も伴走する
「すっげぇなーっ、俺、ハマるかもっ」
「だろっ? 啓介もライセンス取れよーっ」
「おぉ、近いうちになーっ」
「くぅーっ、やーっぱ、海は最高だよぉーっ」
「・・・なぁ、勇次・・・/// って女・・・」
「あーっ? なんか言ったかーっ」
「・・・なんにも言ってねぇよっ」
エンジンの音と波の悪戯で啓介の言葉はかき消された
・・・俺達、どうなるかな・・・
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